ポイントカードとレジの人
夜中に少しだけ、お腹と心に穴が開く。
文章の中の自分とだけしか喋らないのは、少し疲れてしまう。
そんな自分を満たすために、野口英世センセイとコンビニまでお散歩してみる。
誰かの声が聞きたいし、マンゴープリンが食べたくなった。
「僕は本当にこの野口英世と、お別れを告げてもいいのだろうか。」
そんなことを考えたと思えば、青い看板のローソンに着く。ここまで来たらもう後戻りは出来ない。
入って早々僕は進路を左方向に定め、奥のドリンクコーナーに向かう。エロ本には少し目をやったけれど、自分自身を律しながらその前を通り過ぎて、20歳未満お断り大麻より依存性が強いアルコールエリアも通り過ぎる。その先のソフトドリンクが僕の目当てだから。
多様性って言葉が似合いそうな、様々な色のラベルを貼られたジュースの中から、白いラベルの三ツ矢サイダーを手に取る。
そのまま右に切り返して、マンゴープリンを取る。東京メトロ南北線の改札を通り過ぎる時みたいに、0.1秒もスピードを落とさずマンゴープリンを取る。そしてそのままお会計へ。
「262円になります」「ポイントカードはお持ちですか?」
僕は一瞬固まる。
僕はポンタカードを持っていない。何故なら作り方を知らないからだ。
きっとこの後僕が「あ、持ってないです」って言ったら、今僕のマンゴープリンを袋に入れようとしているこの人は、「作り方わかりますか?」なんて言ってくれない。
僕が10歳位まではコンビニでも地元のスーパーみたいに1回1回事あるごとに
「ポイントカード作りますか?」
って聞いてくれた気がする。
「あ、持ってないです。」
「スプーンも要らないです」
僕は結局今日もポンタカードの作り方を聞けなかった。
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