人々の生活をめくる
僕の好きな本に「ベストエッセイ」というものがある。
毎年、日本文藝家協会が編纂し2016、2017、2018といった風に発行している。
この本の存在を知ったのは、エッセイや随筆を書くことに興味が湧いてきた2年ほど前である。2017年版のベストエッセイを買い、それから毎年買ったり、2016年版は図書館でわざわざ借りてきて読んだりしている。
僕はこの文章のようにエッセイともコラムともつかない文章を気が向いた時に書いたり、何日も連続で更新したり、他人から依頼されて書いたりしている。その文章でも自分の思うように書いたり、なるべく素敵な表現をしたい。なのでこの本から、表現であったり、人の人生、他人の感性をどうにかして吸収して、自分の感性を磨こうとしている。
「それならいろんな作家さんの本を文庫やハードで買うなり借りるなりすればいいじゃないか」と思う人もいるだろう。
僕がそれぞれの単行本ではなく、ベストエッセイという形で買う理由はいくつかある。
まず一つ目は、今まで知らなかった作家さんに出会えるのだ。
僕自身本は好きだが、現代純文学や昭和後期に活躍されていた先生方の作品に明るいわけではない。なので、「え?知らなかったの?」と言われるような有名な先生を知らなかったりする。僕の生まれるずっと前から活躍している先生の作品や日常を知れる貴重なツールである。
二つ目は、普段読めない人たちのエッセイが読めるということだ。
ベストエッセイは、その年に出版された文芸誌や週刊誌から作品が転載されていることがある。なので普段僕が読まないような、「主婦向けの週刊誌」や「金がなくて購読できていない文學界」のような書籍に掲載された作品を読むことができる。(しかも選りすぐり)
さらには京都大学総長でゴリラをはじめとする霊長類の研究で有名な山極寿一さんのエッセイも読めたりする。
普段CiNiiなどでしか見ないような方々の生活文が見られるというのも非常に僕としては魅力的だ。(山極先生はホントにゴリラのことしか書いてないけれど)
瀬戸内寂聴さんの視点がはるか上空にあるエッセイだったり、おじいちゃん作家の先生のかわいい孫との話だったり、誰かが死んで涙も出ない話だったり。
〇〇美術館々長みたいなちょっと変わっていて、かわいい肩書きの書き方だったり。
いろんな自分が気づけないけれど、他人が気づいていてくれたもの。
自分の感性がまだまだ伸び代があるなとか。どんどん表現に磨きがかかればいいな。
なんて思いながら、今日もベストエッセイをめくるし、来年もきっとこの本を買います。