4時45分
「写真に残しておかないと、本当にあったことか忘れそうだから。」
懲りずに僕らは朝日を見に行った。
朝4時半過ぎに集まって歩いて行った。街灯はいつも通り、足元だけを照らすような明るさだった。
寒さはだいぶ和らいできているようで、途中の自販機で冷たいレモンティーを買う余裕があるほどだった。
写真に残さなければ、本当かわからなくなると前田は言った。
写真に写るものは割と信用できず、現実の存在の裏付けにはならないと思っていた僕には少し意外で。
彼は彼なりの世界の捉え方をしていた。いい人間の前田はそう言う捉え方をしていた。
彼との4時間の散歩のうち、半分はそのことを考えていたかも知れない。
ただなんて事はない世界の捉え方に。こころを持っていかれてしまっていた。
知恵の輪のように絡んで、容易には解けなくなった言語の羅列を、朝日に照らされて漁港に浮かぶ言語を追い続けていた。
前田とはずっと友達でいたい。彼が許すなら。死ぬまで。
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