自由な雲
彼は青い光を発したのだろうか?
それとも、淡い香りすら出さなかったのだろうか?
7月1日彼は宇宙に還った。
自殺だそうだ。ブロンを服用しながら、眠剤とアルコールで死んだ。
そう、死んだのだ。
ブロンが彼をそうさせたのか、彼がブロンにそうさせたのか。
生きるとは何か。
言葉とは何か。
ブロンを使う意味は何か。
こうやって20行にも満たない文章を書く中でも、僕の心は落ち着いていく。
続けよう。もっと落ち着くために。
僕が、彼と初めてあった時、彼は学校にも行かず、新宿の景色の一部となっていた。
初めてあったのに、お互いに心が崩れていた僕らは不思議と意気投合し、そのまま朝まで一緒に遊んだ。
彼は、学校にも行ってないのに、魔法のように素敵な言葉を心で紡いでいた。彼がはき出す言葉の一つ一つは、学校に行っている僕にもよくわからないくらい美しく感じられ、僕の心を再構築した。
僕達は朝4時のうっすら明けた空に口から自由な雲を浮かべていた。
彼は僕に言葉の意味を教えてくれて、僕は彼に朝日を見ることの素晴らしさを教えた。
しかし彼は次の朝日が来るのを拒んだ。
涙が止まらない。
自分で自分の生きる意味を捨てる人間は馬鹿だ。
彼は馬鹿だ。
ブロンは馬鹿だ。
僕はいつも通り学校には行っている。
次に彼に会えたなら、
「オバケには学校も試験もないのか?」
と聞いてみたい。
そしたら彼は、きっと、ボロボロの歯を見せながら
「あったとしても俺は行かない」
と言うだろう。
そして僕は、新宿は庭だ と言っていた彼にもう一度聞き返す。
「そっちの世界にも新宿はあるのか?」
彼はもう答えてはくれない。