箸に話しかけられた話
17歳の僕は毎日せいちょーしている筈だ。
「成長」
「せーちょー」
生まれてこの方身長も伸び続け、価値観もだんだん成長してる。
けど、それって意外と自分で気づけない。たまーに人から「また背が伸びたね」とか、「考え方変わったね」とか言われて気づいたりする。
それは、いつもと食べる量が変わってないのに、なんとなく体重計に乗ったら4キロ増えてる感じ。
「あれ、また体重増えたね」って体重計に言われちゃう。
それは意外と兄弟にも当てはまる気がする。
兄弟がいる人は共感してもらえると思うのだけれど、意外と弟とか妹の成長を感じる瞬間は急に訪れる。
例えば食卓に箸を並べる時。
なんとなく昔より白髪が増えた気がする母に、「夕飯にするからお箸並べて」って言われて僕は箸を兄弟3人分手に取る。
なんとなく箸を手の中で転がすと、なんとも言えない違和感を感じる。
箸の大きさが一緒だ。
この時僕は初めて気がついた。
弟と妹の箸の大きさがぼくのそれと一緒だ。
なんだか不思議な気分だ。
ついこの間までは、弟も妹もトミカが描かれた真っ青な本体に、丸やU字の突起がついた矯正箸を使ってたのに。気づけば僕と同じサイズの箸だ。
「あっという間に追いつかれたね」箸が僕に言う。
「気付けば移り変わるね。振り落とされそうだよ。」僕は返事を返す。
箸は続ける。「振り落とされたくない。って思えてれば、それだけで大丈夫だよ。本当に大事なのは折れないように、自分色が剥がれないように気をつけることだよ。」
箸の分際でアドバイスか。
まあお前の言葉も聞いといてやろう。
結局はこいつも最近色々と僕にに話しかけてくるマテリアルの1つなんだ。
他人に言われて指摘されてからじゃなきゃ、他人の成長に気づけないなんて。
箸のせいでちょっと自己嫌悪に陥りそうじゃないか。
イラついたから夕飯中に少し強く箸を噛んでみたりした。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
気に入ったらTwitterのフォローとSubscribe よろしくお願いします。