本棚を創る
本屋は僕にジャストフィットしている場所だ。
微妙に178cmの目線から少し下にズレた本棚なんか、猫背の僕のためにあるように。丁度綺麗に、背表紙と目線を合わせてくれる。
皆人それぞれ本を選ぶ基準がある。
テレビで見たビーフストロガノフが作りたくなって、レシピ本を買う。そういえばあの名作は読んだことがなかったな、と思いながら梶井基次郎の「檸檬」を手に取る。誰かと喧嘩してしまって少し人間ぽくて優しい気持ちになりたくて、吉本ばななの本とレジへ向かう。
あるいは、映画の原作が気になったり、Twitterでバズってたり、好きな芸能人が書いた本を買うかもしれない。
ゆっくりと50音順に並んだ背表紙を眺めて、目当ての本を買う。
その一連の行為に僕は少しだけオリジナルなルールを課している。
「子供に読ませるための本棚を構成しうる本を買う」というものだ。
教科書に載っていて、まだ全部読んでいない本や。素敵な小川洋子の作品とかで基本的に埋まってしまう。ドグラ・マグラなんかは子供が自分で買えばいいし、図鑑は魚図鑑が一番良いと思う。芥川や、夏目漱石を買うにしても、あまり全部は買いきらずに、その作品群の中からまた吟味する。なるべく価値観に偏りが出ず、創造性が豊かになりそうなものを。買う。
そんな感じで、今度は178cmの身長でも見上げなきゃならないくらい大きな本棚を、色とりどりの背表紙が彩る様を思い浮かべる。並び順は五十音じゃなくて、自分がハマった年齢順にしようか。
一番最初は、こぐまちゃんのホットケーキから始まって。次は魚図鑑で、そのまた次はきっと、かいけつゾロリにしよう。そうやって一冊づつ埋めていってみる。
自分の子供に自分の第二の人生を投影したくはないから。その本棚の本は読んでくれたら嬉しいけど、読まなくたって別になんともない。
その時は、子供が気に入らなかった本は取り出して、その子が気に入った本と入れ替えればいいんだ。きっと。
1つ確実なのは、きっとさの本棚の前では穏やかな気持ちになれるだろうし、日焼けした背表紙を見て懐かしむ。
そんなことを空想しながら、猫背に丁度いい本棚と睨めっこしながら、自分自身を形成してきて、心の中に「キレイのたまご」を産み落としてくれた本を探したり。これはそういう風になるかな?と思いながらパラパラとページをめくる。
そういう時間を提供してくれて、無駄な時間さえ無駄にさせてくれないところが、本屋が最強で、僕にマッチしているところなんだろう。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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